地元製造業によるカフェ事業での地域活性化


- 創業70年を超える地元企業の株式会社堀内電機製作所は、新事業のIoT事業に必要なIT人材確保のため、地元吉原駅周辺にIoTラボ建設を計画。
- 同時に、地域活性化のために、周辺に人が集うカフェの新設も計画し、カフェオープンに向けて地域事業者とのマッチングをBeパレットふじが支援。
事業者名: 株式会社堀内電機製作所
ラジオ発言者:代表取締役 杉田 光徳さん(左)、経営企画課 戎谷 茜さん(右)
※ラジオエフの「カラー・オブ・サクセス」で放送された、Beパレットふじ相談者のインタビュー内容をまとめています。
(放送日時:令和6年11月5日(火)12:30~13:00)
堀内電機製作所がカフェ事業を始めた経緯は?
(杉田氏)
本業は“ファクトリーオートメーション”、工場の自動化の制御盤というものを作る会社です。近年、モノを作るだけでは競争も激しいため、新しい技術をつなぎ合わせて商品開発をしています。
その一環で、インターネットで製品と製品をつないで、遠隔監視・遠隔操作の商品を開発しています。
ただ、IT人材となると、富士市、特に当社は伝法なので、車がないと行けないところでは求人が限られます。でも、お客様からニーズはあるので、「本社以外にどこに拠点を作ろうか?」と考えました。

当初、社内では横浜や静岡などの意見も出ましたが、やるのであれば、我々の最寄り駅である吉原駅に、地域に何か恩返しをしていこうということで、吉原駅周辺で土地を探し始めました。すると、今のカフェの前の持ち主様の方から、「ここを解体して、さら地でどうですか?」とお声かけ頂きました。ただ、我々は民家を見た瞬間、「この建物は絶対に潰してはならない。」と思ったんです。
我々は地域に支えられて今があるので、「電気屋として何とか恩返しをしたい、街に明かりをつけよう」、「じゃあ明かりをつけるのであれば何がいいか」、「カフェにしよう」と考えました。
また、100年前から地域の発展に貢献されてきたお家を残していきたいと思い、カフェにしました。さらに、富士市が元気になればと思いまして、カフェにはデスクやWi-Fiを整備して、学生が勉強したり、仕事をしたりする環境をつくっています。
IoTのオフィスは、今現在改装しているビルがありますので、そちらの方で展開していく予定で考えています。
戎谷さんには、本社の仕事と、吉原駅前のカフェjin caféの仕事、その両方をつなぐ仕事を任せています。
地元の吉原駅に明かりを灯したいという強い思い
(杉田氏)
私は須津出身なので、30年前の高校生だった時に、吉原駅を利用していました。当時はバブル絶頂期でしたので、吉原駅周辺は本当にたくさんのお店や明かり、人がいまして、すごくいい時代を過ごしてきました。ですが、富士市を20年以上離れて戻ってきたら、吉原駅周辺の変わり果てた様子を見て、「これは何とかしたい」と思い、今に至っています。
(戎谷氏)
jin caféは、築100年の古民家をリノベーションして、元々あったものを残しながら、働く人を応援する、ゆったりできる空間となっています。11月からは夕方にイルミネーションを開始しました。
堀内電機製作所のこれまで
(杉田氏)
当社は創業75年になり、長い期間、地元の企業様がお客様で、本当に地域に支えられて続いてきました。
私は15年前に大手アパレルメーカーから戻ってきましたが、リーマンショックの時期で、経営が厳しい時期もありました。その時に助けてもらったのもやはり地域の企業だったんです。なので、利益を自分たちの儲けとして考えるのではなくて、地域に還元して、将来の投資に使っていきたいという思いでおります。
現在は、人材育成にも注力しています。当社の経営理念「人と社会のために 無限なる人の可能性を生かしきり 無限なる電気の価値創造に挑戦する」という思いを、この10年かけてみんなで作ってきました。私の根底にあるのは、どんな人でも無限なる可能性を持っている。それは社員のみんな、それから僕自身も持っています。
とにかく前向きであれば、人は成長できるというふうに思っているので、とにかくその人の可能性を信じて、一緒にいろんなことを学んで、昨日より今日、今日より明日、成長していこうという思いでやっています。その思いのもと、この15年で人材は30名から60名ほどまで増えてきました。

バイタリティの源とは?
(杉田氏)
僕自身は、ものすごくバイタリティは弱い人間なんですよ。
(戎谷氏)
いや、強いですね(笑)。
(杉田氏)
本当に弱いんですけど、みんなに助けられて今があると思っています。
ただ、私は50歳になりまして、残りの人生で何か残していきたいなと、良い形にして会社も地域も若い人たちにバトンタッチしたいです。
3年前からベトナムに支店を作りまして、海外とのつながりも作りながら若い人たちに渡していきたいなという思いのみです。
これまでと違うジャンルへの挑戦
(杉田氏)
私の中では、本業も飲食も、IoTも全て繋がっているんですけども、ただ業態としては確かに未知の世界になります。さらに、全てのお店が一回無くなってしまった吉原駅周辺に、再度お店を作るというのは、マーケティング的に考えれば非常にありえないことです。
ハードルは高かったので、いろいろな情報を集める必要がありまして、Beパレットふじに相談に行きました。Beパレットふじは富士市のあらゆる人脈がありますので、いろんな人をご紹介いただきながら、私たちがあそこまで形にすることができました。
地域を元気にするのは企業
(杉田氏)
今の富士市があるのも、大企業や製紙関連企業が引っ張ってきたということは間違いないと思います。ただ、今は少し元気がなくなってしまい、閉塞感があるのは、企業の元気がなくなってきたからではないかなと私自身は思っています。
やっぱり企業が元気であれば、そこにいる社員も元気で、その社員たちはみんな地域に住んでいるので、それが連鎖的になるんじゃないかなと思っています。
ですから、60人くらいの小さな会社ですけども、出た利益から、地域の明かりに貢献したり、あるいはベトナムに小さい会社を作ったりと、これはあくまでも挑戦ですね。挑戦しているというのが、周りの人や企業に、少しでも元気を伝播できたらなという思いで今走り続けています。
吉原駅前で人が集って、富士山を見ながらビジョンを語る場を作りたい。
(杉田氏)
私は企業人ですので、会社を通して地域と関わりたいなという思いがあって、会社は「拡大」ではなくて「成長」、身の丈にあった形で成長させていきたいと考えます。
世界とのつながりを持ちながら、世界にも挑戦し続けて、新しい技術IoTだけではなくて、地域の学校とも関わりを持ちながら、今度はAIの研究にも入っていきたいなと思います。
それから、吉原周辺にjin caféとIoT事業のビル、できればもう一店舗作りながら、10年後でもいいので、我々以外の誰か一緒に賛同してくれる方たちが、吉原駅前に会社を作ったり、お店を作ってくれれば、少しでも未来は明るくなっていくんじゃないかなと思います。

(戎谷氏)
まだ分からないことだらけではあるんですけど、いろいろ勉強させていただいて、いろんな方々と関わらせていただいて、楽しくやっていきたいです。
杉田さんにとってサクセスとは?
(杉田氏)
自分の命を懸けること、これが見つかることじゃないかなと思っています。経営を通して、地域、社会に貢献しながら、若い世代に何か残したいなっていう思いです。
ただ、補足しますと、私はもう成功しているとは思っていませんし、生きている間に成功するっていうことはないと思っています。それは人の相対的な判断かなと思っているので、そういう意味での「見つけること」がサクセスです。
事業者情報
株式会社 堀内電機製作所
事業内容 | 全国の各種プラント設備において、配電盤・分電盤・受変電設備・制御盤などの 設計及び製作、各種制御システム設計・ソフト制作。現地改造工事やメンテナンス。 |
所在地 | 富士市伝法482 |
電話 | 0545-77-1978 |
ウェブサイト | https://horiuchi-electric.jp/ |
jin café
事業内容 | 富士の麓、再び街に明かりを灯すカフェ |
所在地 | 富士市鈴川本町11−20 |
電話 | 0545-67-8277 |
営業時間 | 月~土11:00~19:30 日曜定休日 |
ウェブサイト | https://jin-cafe.jp/ |
※ラジオエフとは、富士・富士宮地域限定で放送を行っているコミュニティFM。毎週火曜日のお昼の時間帯は、全国や地域のビジネストピック・ニュースを取り上げながら“働く”を考えるビジネス情報番組「カラー・オブ・サクセス」を放送しています。様々な成功のかたち、それぞれの“カラー・オブ・サクセス”を探す手助けとなるべく、幅広い角度から“働くこと”を掘り下げていきます。 ラジオエフはこちら