移住から開業へ 元珠算教室から生まれた洋菓子店
- 「はなとうさぎ」の門石さんは富山県から富士市に移住したのち、長年のパティシエ経験を活かして、令和7年4月に洋菓子店を開業しました。
- Beパレットふじでは、開業にあたって必要な商品や資材を整理し、仕入れ先のマッチングを行いました。
ラジオ発言者:門石 マキさん
ラジオエフの「カラー・オブ・サクセス」で放送された、Beパレットふじ相談者のインタビュー内容をまとめています。
(放送日時:令和7年9月9日(火)12:30~13:00)
(門)門石 マキさん
(ナ)ラジオナビゲーター
静岡県が大好きで、富士市に移住しての開業
(ナ)今日のお客様は富士市中里にあります「はなとうさぎ」代表の門石マキさんです。
令和7年4月に洋菓子店としてオープンした「はなとうさぎ」さん、今後はお菓子教室も始めたいということです。
開業して半年経ちますが、いかがですか?
(門)ありがたいことに地元のお客様がよく来てくださって、忙しい日々を過ごさせていただいています。
(ナ)門石さんは富士市に移住されてお店を開業されたんですね。
(門)出身は東京の足立区で、埼玉寄りの東武伊勢崎線の終点の地域で生まれ育ちました。静岡に来る前は、富山でオーナーパティシエを任されて数年働きました。
(ナ)静岡愛が強いというか、静岡にずっと来たかったんですか?
(門)ずっと静岡に来たくて、コロナ前から静岡の移住支援センターに相談しながら物件を探してました。
でも、コロナが始まってしまい2年間は移動ができず、その後また約2年は物件を探したので、移住するまで合計5年ぐらいかかってしまいました。
(ナ)その静岡愛っていうのは、どこから来ているんでしょうか?
(門)父が静岡のことが好きで、幼少時代からよく家族旅行で連れてきてもらっていたというのもあります。
また、二子玉川の学校に通っていたのですが、同級生に静岡出身の子が多かったので、静岡に旅行に行くことが多かったんです。
(ナ)富士市に移住というのはどうしてだったんでしょうか?
(門)最初は、富士市で物件が見つからなかったので、移住先の候補にはなっていませんでした。
ですが、今の物件の大家さんが、移住支援と起業支援をされていて、その方が「面白い物件あるよ」ってご紹介いただいたのが今開業している場所です。元は珠算教室だったんです。
(ナ)中里の珠算教室って言うと、結構ピンとくる方も多いんですよね。
(門)具体的に言うと、国道1号線から中里の大きな交差点を山の方に曲がっていき、岳南電車の神谷駅近くになります。
元珠算教室を、ほぼそのままの感じで残して、冷蔵のショーケースを並べています。


コンセプトは「シンプルに分かりやすいお菓子」
(ナ)はなとうさぎのお店の特色としていきたいところっていうのはどんなところでしょうか?
(門)特徴としては、とにかくケーキをシンプルにしたいと思っています。
長年パティシエ人生を歩んできた中で、いろいろな手法でお菓子を作ってきたんですけども、添加物はベーキングパウダーのみに絞り、保存料は一切使用せず、とにかくシンプルな配合で分かりやすいお菓子を作るっていうところに戻っちゃったんです。
というのも、お子様からご年配の方まで、安心して食べられる点を重視しています。
見てすぐ何が入ってるか、どういうお菓子なのかが分かりやすく、皆さんが好きそうなものをチョイスして、特別な時はバースデーケーキにして、普段は毎日食べたいなって思えるような、おやつ的な感覚のものを作ってきたかったという思いがあります。
焼き菓子に関しても全く同じで、材料もシンプルにしています。また、店名にあるうさぎをモチーフにしたものがほとんどです。
(ナ) 私もフィナンシェを買わせてもらったんですが、大きめの、うさぎの全身の形で、とても可愛かったです。
(門)通常の四角いフィナンシェの1.3倍くらいの重さで、型は、自分で粘土で作ったものをもとに、型屋さんに発注しています。
たい焼きでいう一丁焼きみたいな1つずつの鉄製の型なので、焼くのはちょっと大変なんですけども、火の通りがしっかりで、フィナンシェはすごいおいしく焼き上がると思います。
うさぎ好きな方にも来てくださってます。
(ナ)インスタグラムを拝見しましたが、華やかなケーキが並んでいますね。オリジナルのデコレーションケーキが多いでしょうか。
(門)それは結構大事にしているジャンルです。やっぱり誕生日ケーキって特別なので、おひとりずつのストーリーだったり、どういう思いで送りたいのかというのをお聞きしたりしながら、1台ずつオリジナルで作っています。


大切にしたいのは、地元食材のストーリーを知って作ること
(ナ)お一人で創業されて、作ることから販売から、情報発信もやってらっしゃるということですが、移住のように、創業の際もどこかに相談されましたか?
(門)移住してすぐに、商工会議所と繋がっていたBeパレットふじに相談しました。
どこの材料が良いかとか、こういう風に進めていったら良いかっていうのを相談に乗っていただきました。
今でも農家さんと繋いでくださったり、様々なご支援をいただいています。
(ナ)ケーキっていうとやっぱりフルーツが欠かせないんですけれども、地元の農家さんのものにこだわってらっしゃるんですよね。
(門)パティシエ時代は売ってるものや業者さんが持ってきたものをそのまま使うっていうことがほとんどでした。
でも本当は、昔から食材はどこから来て、誰が作ってるのかという点に興味があったので、フルーツなど、どういう考えで作られてるのかなというのを知りたかったんです。
今年の夏にBeパレットふじから桃農家さんを紹介していただいて、それが富士市の鈴川の桃だったので、「富士市って桃農家さんあるんだ」と思って、桃畑まで行って、農家さんと直接お話させていただいたんです。
実は、現在富士市には桃農家が2軒しかないということで、「なぜ富士市で桃農家ができたのか?」「なぜ2軒のみになってしまったのか?」など、いろんなお話を聞きました。貴重な桃を使えたというのは、すごくありがたかったですね。
そういう風なことが今までできなかったので、他の材料もできるだけ静岡県産のものを使いたいなと思っていて、休日は市場に電話して、静岡県産の卵や牛乳を一生懸命かき集めてるという感じです。
静岡はあまりにも食材が豊富すぎて、イチゴなど美味しいものが長期間安いということに感動しています。
(ナ)自分が褒められてるみたいな気持ちになって、嬉しいですね。外から来てくださったからこそ、それが実感できるんですね。
(ナ)開業されてから、地元の皆さんの応援っていうのはいかがですか?
(門)富士市の方たちが皆さん本当に優しいです。
1人で来てどうしようかなと不安だったんですが、開業したらご近所さんや町内会の方が頻繁に顔を出してくださって、「大丈夫?寝てる?」とか声をかけてくださって、そのことにも感動しています。
(ナ)それだけ地域の方からも注目や期待もされているじゃないでしょうか。
(門)珠算教室から何ができるか気にしてたのよという声も聞きます。そこから移住の話をしたりして、仲良くなっていって、一緒にイベントやろうねと声をかけてくださったりして、本当にありがたかったです。
(ナ) そういうコミュニティがあるって温かいですね。
(門)今まで自分が働いてきた職場だとそういうコミュニティがなかったので、ちょっとびっくりしていますし、凄い心強いです。
(ナ)「分かりやすいお菓子」ということで、自分で食材を探すご苦労もあると思いますし、安定的に入荷できるか分からないという難しさもありませんか?
(門)すごくありました。
フルーツなど材料も生き物なので、旬のフルーツでも、そのときの糖度の違いを見極めながら作っていくという難しさがあります。
でも、分かりやすい・安全な方がいいなという思いから、定番を作らずに、その時にあるものを美味しく提供するっていう風にシフトチェンジしました。
(ナ)長いパティシエ人生を経て、それがご自身のやりたいことで、たどり着いた答えということなんですね。

今後は、お菓子教室や地域コミュニティの場もつくりたい
(ナ)今後はお菓子教室、パティシエ教室も始められたいということなんですね。
(門)お菓子教室にしたいんですけれども、ちょっと古い建物なので、修繕がまだ間に合ってないです。
教室を始められるようになったら、インスタグラムやLINEでお知らせしようと思っています。
(ナ)教室の対象はどんな方ですか?
(門)お菓子を本格的に習いたい方と、例えばお子様とお母様が参加できるとか、小さい子も参加できる形も考えています。
あとは、お菓子教室を開かない日は地域の方やお菓子好きな方のコミュニティの場みたいになれたらなと思います。
(ナ)そうなってくると、人手の問題もでてきますか?
(門)それは今悩んでいる点です。
今まで部下や後輩と携わってきて、人それぞれの考え方がありますので、どういうふうに折り合いをつけていくかっていうのが課題です。
その人が作れるようなお菓子に代わってしまう可能性もありますので、自分の中で何を重点に置くか悩みどころです。
性格的にはスピード感を持ってやりたいタイプなんですけど、まずはちゃんとお客様を重点に考えたいなと思っているので、体力と相談しながら答えを出していこうかなと思っています。
(ナ)お菓子作りやお店運営に関しては、なんとなくルーティーンができてきましたか?
(門)まだですね。全て一人っていう経験がなかったので、どうしていこうかなと試行錯誤です。
門石さんにとってのサクセスとは
(門)お客様に飽きられずに常に支持していただいて、体力が続く限り作り続けられることができて、もうこれ以上作れないなって思った時に「やり切ったな」って思えれば、自分の人生のサクセスかなと思います。
美味しいって言って頂けるとそれ以上のものはないので、まだまだ作り続けていきたいなと思っています。
事業者情報
| 事業者名 | はなとうさぎ |
| 所在地 | 富士市中里987 |
| 事業内容 | 築70年の珠算教室をリノベーションした安心安全なお菓子屋 |
| 営業時間 | 12時~19時 |
| インスタグラム | https://www.instagram.com/hana_usagi987/ |