着火性の良いスウェーデントーチの商品開発
事業概要
富士市地域産業支援センター（以下、Beパレットふじ）は、IT・DX をはじめとした専門スキルを有する人材を配置し、地域産業を担う市内中小企業等が抱える経営上のあらゆる課題解決をワンストップで支援します。さらに、産業支援機関との連携を積極的に図り、市内事業者への伴走型支援や企業間マッチングを効果的に実施します。事業成長や経営効率化だけでなく、起業・創業についても積極的に促進し、地域の産業振興および活性化に貢献します。
着火性の良いスウェーデントーチ(*1)の商品開発
田辺建設株式会社はこだわりの健康の家を提供する傍ら、富士市森林組合と連携して間伐材の活用方法について議論を重ね、富士地区林業振興対策協議会が認定した工場で生産され販売される「FUJI-HINOKI MADE 」(*2)をブランド化し、富士山の檜を活用できないか検討していました。アニメ「ゆるキャン」の聖地として、富士市の野田山緑地公園の富士川キャンプ場が紹介され、キャンプ愛好者の中で炎を楽しむブームにより、スウェーデントーチが注目されています。
しかし、通常のスウェーデントーチでは着火が難しく、炎が安定しない等の課題があり、田辺建設株式会社は切り込みの幅、深さ、本数、さらに通気口の穴サイズ、数等の5種類の相関データを変化させた様々な実験を行い、着火性と炎の安定性を解決できる構成を発見しました。知財総合支援窓口（INPIT静岡）とBeパレットふじによる支援の下、商品開発、特許出願、富士市のふるさと納税返礼品登録を行い、受注を開始しました。
*1：スウェーデントーチは、縦に切込みが入っており、木の幹に着火するとインパクトある炎が立ち上がります。インスタ映えすることから多くのキャンパーにSNS投稿されている新しい焚火で、炎を楽しむ・癒されることが新たなブームとなっています。
*2：FUJIHINOKI MADEについてはhttp://fuji-hinoki.jp/をご参照ください。
支援センター情報
Beパレットふじ
| 事業内容 | ・市内の事業者や市内で起業を希望する人を対象に伴走型支援を行う相談窓口である ・IT/DX導入、工業系技術に関する相談も積極的に支援する ・企業訪問による支援も実施し、多面的に事業者へアプローチしている |
| 所在地 | 〒417-0058 静岡県富士市永田北町3-3 富士市立中央図書館分館2階 |
| 電話番号 | 0545-52-6777 |
| メールアドレス | sangyou-center@ex.city.fuji.shizuoka.jp |
| ホームページURL | https://be-palette-fuji.com/ |
企業情報
田辺建設株式会社
| 事業内容 | 「こだわりの健康の家」「長く、愛着を持って住み続けられる健康の家をつくる」をコンセプトとした家作りを行っている |
| 所在地 | 〒421-3303 静岡県富士市南松野1400 |
| 電話番号 | 0545-85-2668 |
| ホームページURL | https://www.tanabekensetu.com/ |
田辺建設株式会社のシーズ
- 田辺建設株式会社は富士市森林組合から「FUJI-HINOKI MADE」ブランドの富士山の檜である間伐材を安く入手できるルートを保有している。
- 田辺建設株式会社の本業である建設業では、住む人の健康を第一に考えることをコンセプトにしており、そこから発想した炎観賞による和み効果を発揮できるスウェーデントーチの開発を始めた。
商品化における課題
- 商品開発
- 通常のスウェーデントーチは着火が難しく、炎が安定しない等の課題がある。
- 先行するスウェーデントーチの競合品との差別化、模倣品対策
- 大手キャンプ用品メーカーとの差別化が必要である。
- 幅広いユーザーが対象の商品なので、馴染みやすい商品名を付けたい。
- 実用新案権で知的財産を保護したい。
- 販路開拓
- オンラインで販売したいが、ECサイトでの販売経験がない。
全国、そして可能であれば海外へ富士山の檜を広めいきたい。
- オンラインで販売したいが、ECサイトでの販売経験がない。
本事業の支援によるソリューション
- 商品開発と特許・商標によるダブルガード（模倣品対策）
- トーチに用いる富士檜丸太の縦方向の切り込みの幅、深さ、本数、通気口の穴サイズ、数等の5種類の相関データを変化させた様々な実験計画を提案し、先行するキャンプ用品大手が販売するスウェーデントーチの課題である、着火性と炎の安定性を両立・解決できる構成の発見を支援した。
- 特許出願が可能な特許請求項の構成要件と着火性と炎の安定性を両立する上昇気流活用効果の論理性を構築し、静岡県知財総合支援窓口（INPIT）とBeパレットふじが連携し、実用新案権より強固な権利である、特許出願に必要な要件を見出した。
- Beパレットふじの運営受託者である有限責任監査法人トーマツの若手社員とその他Beパレットふじ関係者が参加したネーミング検討会を開催し、お客様に刺さる商品名称「ファイアストリーム」を考案し、商標出願サポートと商標登録を支援した。
- 富士市産業財産権・海外産業財産権取得事業補助金（PAT支援事業）を活用し、特許及び商標出願に関して、弁理士費用を含めて1/2補助（上限30万円）の獲得を支援した。
- 販路開拓・拡大
- 様々なECサイトの比較を行い、商品と顧客のニーズに最適なECサイトの選択を支援した。
- 富士市のふるさと納税返礼品への登録申請サポートも行い、販路拡大を支援した。
今後の事業展開
- ユーザーの様々なニーズ（燃焼時間、サイズ、重量）に応じて、バリエーション開発を目指す。
事業者の声
Beパレットふじの近藤コーディーネータｰには、富士のソロキャントーチ「ファイアストリーム」の特許及び商標出願をはじめ、トーチの独自性や吸気量の理論的根拠・炎の実証実験など専門的な観点からアドバイスをいただきました。炎を五感で楽しむことをコンセプトにするなどプランディングについても多くを教えられました。対応の速さとその的確な指導に感謝しております。新たな商品開発には引き続きご支援をお願いします。
「ファイアストリーム」の販売開始、おめでとうございます。着火性と炎の安定性を両立する構成を発見するための様々な実験にお付き合いいただき、ありがとうございました。
