相談事例

「つくる」を通して生きる力と笑顔が広がる障害者支援施設

  • 令和6年10月に設立した「NPO法人ふる郷工房」は、障害があり支援を必要とする方々を対象に、排泄・食事等の介護を行うとともに、創作的活動や生産活動の機会を提供する支援施設を運営しています。
  • また、働く保護者をサポートするため、長時間のお預かりをしています(令和7年5月事業開始)。
  • Beパレットふじでは、法人設立の想いや目的を整理し、経営計画書の策定や資金調達をご支援しました。

事業者名: NPO法人ふる郷工房

ラジオ発言者:理事長 上田 郷(うえだ きょう)さん
施設利用者 遠藤 隆司(えんどう りゅうじ)さん

ラジオエフの「カラー・オブ・サクセス」で放送された、Beパレットふじ相談者のインタビュー内容をまとめています。
(放送日時:令和7年7月29日(火)12:30~13:00)

理事長 上田郷さん(左)、施設利用者 遠藤 隆司さん(右)

(上)上田 郷さん
(遠)遠藤 隆司さん
(ナ)ラジオナビゲーター

NPO法人ふる郷工房を開業したきっかけは中学時代の経験

(ナ)「NPO法人ふる郷工房」理事長の上田郷さんと、そしてこちらを利用されている利用者の遠藤隆司さんにお越しいただきました。

上田 郷さん、お名前がちょっと珍しい響きですが、ご紹介した「ふる郷工房」の「郷」という字が郷さんの字になります。

どんな施設なのかというところから、自社紹介をしていただきたいと思います。

施設外観

(上)障害者支援施設という施設になりまして、生活介護事業所になります。
簡単に申し上げますと、お年寄りのデイサービスの障害者版のような形の施設になっており、皆さんが通ってこられる施設です。令和7年5月1日にオープンしました。

(ナ)間もなく丸3ヶ月で、できたばかりですね。
上田さんがふる郷工房という形で、ご自身で始めようと思われるようになったきっかけ、あるいは福祉のお仕事をなさるようになったきっかけは?

(上)今日は手元に中学校3年生の時の通信簿を用意しました。
僕が福祉の仕事を始めようと思ったきっかけが、 中学の時にありまして、あんまりよろしくない表現かもしれないんですけど、 当時あまり成績が良くなかったんです。すると、当時担任をしていた先生に、「ボランティアに行ってこい、行ったら内申点を上げてやる」って言われたんです。(笑)

(ナ)実際そうだったかどうかは別としてですけど、 先生としては、行きなさい、そのきっかけとしてという、言い方だったんですね。

(上)はい。それで、いろんな福祉事業所のボランティアに行きまして、一番心にグサッと刺さったのが、特別支援学校にお芋掘りに行ったボランティアでした。
僕は「内申点!」と思いながら、特別支援学校にボランティアに行ったんですが、帰宅後に、特別支援学校の生徒さんから一通のお便りが来たんです。そこには、「今日は僕たちのためにお手伝いに来てくれて、ありがとう」と書いてありました。それを読んだ瞬間、「内申点じゃないよ!」、ズキューンって胸にきちゃって、「僕は将来、障害をお持ちの方をサポートする仕事に絶対就くんだ!」っていう気持ちが中学生ながら芽生えました。
そこから、福祉の専門学校に進学し、福祉専門の道に進んでいったというエピソードですね。

(ナ)しかもその中学3年の時の生徒会活動が、なんと、福祉委員会の委員長をされていたと。

(上)僕も、その通信表を見るまで「そんなことやってたかな?」と、うろ覚えだったんですが、それも何かのご縁かもしれないですね。
そういう出会いもそうですし、その時担任をしていた先生が、僕が福祉の専門学校に通うために東京に出た後もサポートしてくださっていて、もう本当に恩師中の恩師です。その先生がいなかったら、今の僕はいない、もうそれぐらい偉大な先生です。

(ナ)担任の先生との出会いと、特別支援学校の生徒さんと衝撃的な出会いだったんですね。
これまでは福祉の仕事を、職員という形でなさって、今年5月にご自身でオープンされましたが、どんなことを目指して ふる郷工房を立ち上げられたんでしょうか。

(上)以前は福祉関係の大きな事業所にいたんですが、大きいとやっぱり小回りが効かないというところもありました。僕が結構熱い思いで「福祉やるぜ」って決めていたので、それがうまいこと回らなくなってきて、「だったら自分でやっちゃった方が夢が叶うんじゃない?」と思い、令和5年くらいから自分で福祉施設をやろうかなっていう気持ちが芽生えてきました。
NPO法人は理事と監事が必要なんですが、専門学校時代の友人が、「郷ちゃんやるなら俺らやってやるよ!」みたいな感じで無償でバックアップしてくれたんです。それでなんとか、令和6年度にNPO法人を立ち上げることができました。(副理事:社会福祉法人煌徳会 施設長 小平友洋氏・理事:社会福祉法人武蔵野会 本部課長 田部季之氏・監事:社会福祉法人みらい工房 総合施設長 渡邊慎太郎氏)
そこから障害者支援サービスの指定申請で、今働いている現場のスタッフなんかが集まってきてくれて、令和7年5月にオープンすることが出来ました。

利用者 遠藤さんのふる郷工房での体験と成長

(上)遠藤さんは、5年前に中途失明で全盲になった方です。5月末に、ふる郷工房に体験でお見えになられたのがきっかけですね。僕らも全盲の方への支援を今までやったことがなかったので、遠藤さんを受け入れて大丈夫かな?という思いが当初はありました。

一方で、施設をスタートしたばかりで、利用者さんもそんなにいなかったので、その時間を有効活用するにはどうしたらいいかなと考えて、「とにかく職員研修しよう、勉強しよう」というところにシフトチェンジしました。

そこで、沼津の盲学校(特別支援学校)に職員全員で行って、目の見えない障害をお持ちの方にどんな支援をしたら良いかというアドバイスを頂いて、遠藤さんの受け入れも完璧だよねという状態でスタートしました。

遠藤さんは、最初週1回通われていましたが、最近では週5回来ていただいています。

(ナ)遠藤さんにとって ふる郷工房はどんな場所になってるんですか?

(遠)宝箱ですね。

ふる郷工房に行くようになって、ふる郷工房で「こういうことをしないか、ああいうことをしないか」と教えてくれて、その宝箱が開いた時に一歩前に踏み出せました。

自分の目に見えない所にも小さな宝箱や大きな宝箱があって、それが一つずつ開いていくと、自分の幸せや不幸が見えてきます。ふる郷工房に行かせてもらって、幸せな部分の温かいまっすぐな光が、目の見えない僕に差し込んできました。

(ナ)ふる郷工房に行って、どのような活動で、宝箱を開いてらっしゃいますか。

(上)本当にいろんなことに挑戦される方で 昔陶芸をやったことがあるということで、最初は手ろくろを使って、大きなお茶碗などを作っていました。

陶芸活動

他にも何かやることないかな?できることってないかな?と、いろんなことを探して 今はキャンプで使う着火剤(焚き付けをする時の火種)作る作業もしています。 あとは、ろくろを回さなくても陶芸が上達してきまして、小さいお猪口を作って、薄さにもこだわっています。

木工活動

(上)週5回も通っていただいて、すごくありがたい話なんですが、それとは別に遠藤さんの人生を考えた時に、まだお若いので次のステップがあるんじゃないかという風に考えました。

スタッフと話し合いをして、あん摩の資格を取る道もあるんじゃないかということで、沼津の盲学校を通して、「国立障害者リハビリテーションセンター」(埼玉県所沢市)を紹介されました。医療や自立支援をするシステムもあるところです。

(遠)今はそこに行きたいという一歩を踏み出そうとしているところです。

自立支援という面で、白杖の使い方や調理の仕方など生活スキルを1年8ヶ月じっくり学んで、その後に あん摩指圧師の勉強が3年あります。

(ナ)ふる郷工房に出会う前のご自身が、その何ヶ月か後に埼玉まで行って勉強しよう、何年もかけて勉強しよう、なんてことになるとは思っていなかったんじゃないですか。

(遠)全然思っていなくて、生きる糧を失った方が大きかったです。この先どうやって生きていこうかと悩んでた時に、ふる郷工房さんとか 周りの支援者さんたちが考えてくれて、「これをこうすれば、もっと心よく生きれるんじゃないか」と話を進めてくれました。

それに対して僕が、さっきの小さな宝箱じゃないけど、それを光と感じて「一回やってみようか」という心意気になり、今に至っています。

(上)もう本当に涙が出そうです。

(ナ)ふる郷工房で、まず宝箱の存在を知り、開けることができた 2ヶ月というのは、相当なスピードだと思いますけど、遠藤さんのお気持ちの変化はすごいことですよね。

(上)生きることに絶望されていた遠藤さんが、たった2ヶ月で変われるんだというところが、自分が目指していた福祉というか、そこに合致したかなと思います。 今後は、遠藤さんが作りためているお猪口などいろんな商品の販路開拓も進めていきます。

ふる郷工房のウェブサイト

上田さんにとってサクセスとは

(上)うちに来た利用者さんっていうのが、本当にとにかく皆さん笑ってくださるんです。その笑顔の数が僕のサクセスです。

日中活動での一コマ
陶芸活動での一コマ
ラジオ体操での一コマ

(ナ)これからもふる郷工房でたくさんの笑顔を咲かせていただきたいと思います。

遠藤さん、新たな一歩、心から応援していますので頑張って、終了されたらまたぜひ富士に戻ってきてくださいね。

事業者情報

NPO法人ふる郷工房

事業内容自らが日中の過ごし方を選択できる障害者支援施設(生活介護事業所)。
また、働く保護者をサポートできる体制を整えています。
所在地富士市柚木317-1
電話0545-87-1940
ウェブサイトhttps://furusato-koubou.com/
インスタグラムhttps://www.instagram.com/furusatokobou/

NPO法人ふる郷工房の、Beパレットふじ支援事例の詳細はこちら

他の相談事例も確認する

  • Beパレットふじ 地域産業支援センター
    マッチング

    屋根付き個室型洗車場の創業に向けた事業計画策定・実行支援

    Wash Freakサービス業マッチング
  • Beパレットふじ 地域産業支援センター
    売上増加

    女性限定サロンのマーケティング支援による売上・顧客増加の実現

    骨格矯正ピラティスFOMEサービス業売上増加
  • Beパレットふじ 地域産業支援センター
    資金調達

    障害がある方への支援施設設立に向けた経営計画書策定・資金調達支援

    NPO法人ふる郷工房サービス業資金調達
  • Beパレットふじ 地域産業支援センター
    販路拡大

    中小企業が抱える課題を解決する協働ロボット導入サービス開発支援

    有限会社チアキ機工製造業販路拡大
  • Beパレットふじ 地域産業支援センター
    マッチング

     焼肉店開業のための地元農家とのマッチング支援と資金調達

    焼肉酒場うしまる飲食業マッチング
  • Beパレットふじ 地域産業支援センター
    資金調達

    みんなの応援で叶えた焼肉店の開業

    ホルモン焼肉ニコル飲食業資金調達
屋根付き個室型洗車場の創業に向けた事業計画策定・実…
無料相談予約はこちら